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競馬デートという選択肢

大学の同期の男の子と競馬をしてきた。


人生初。



彼が手取り足取り、教えてくれる。


競馬新聞の見方。賭け方。



「あれ、ワイドってなんだっけ」

「三等までの中で、二頭を順不同で当てるやつ」

「なるほどなるほど。」


普段は頼りない彼。

しかし競馬場では頼れるのは彼のみ。


異空間の競馬場で、

彼から離れないようにくっついて歩く。


「んんーわからないなあ。」

「これまでの戦績とか見れば大体わかるでしょ。」


おどおど100円ずつ、複勝とワイドを賭けてみる。


いざ、初レース。


コースの目の前で見る馬は魅惑的だった。

筋肉はしなやかで、力強くて、そしてものすごい速い。


「かっこいい…」と感動する私の隣で、

「3番いけ!3番!!」と叫ぶ彼。


そうだ、賭けてるんだった、

5番、複勝


「あー5番かよ。ノーマークだった。」

「え、当たってるかも。」

「マジで!単勝?配当高いんじゃね。」


私よりテンションの高い彼に笑ってしまう。


複勝だし、そうでもなさそう。」

「100円かよ。もっと賭けなきゃ楽しくないよ。」

「えっいくら賭けてたの?」

「今回はとりあえず1000円」


確かに。

ドキドキしたい。


「次は1番絶対くるから。1万賭けるぞ。」

「飛ばしてくねえ。」


普段から快活な彼だけど、こんな生き生きしてるのは初めてだ。


「私も、1000円賭けてみようかな。」

「おう!いけるって!」


楽しくなってきた。


レース開始の音が、さっきと違って聞こえる。


10番、10番こい、こい


ゴール間近になると、もう自然に声を出していた。

会場の盛り上がり、そして彼と興奮を共有する。


彼も私も、本命の複勝で地味に勝ち、他の大穴狙いはかすりもしなかった。


「はードキドキした。」

「な。」

満面の笑み。


吊り橋効果、ドキドキしている時に人といると、その人に対してドキドキしていると勘違いして、恋に落ちやすいというアレ。


競馬でも同じ、じゃないの。


その後のレースは

私は全く当たらなかった。


彼は大きく勝ったり大きく負けたり。

表情がくるくる変わって面白い。


勝った時は興奮のあまり私の肩を抱くのは、やはりドキドキしてしまうのでやめてほしかった。